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自由表面条件、浮体底面条件、海底の条件を考慮する事により、最終的に次の積分方程式が導かれる。

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Gは核関数3)、K=ω2/gである。
(5)式は、浮体を有限個のパネルに分割し、離散化することにより、連立一次方程式の形に表す事ができる。左辺のζ(x,y)は水面変位を表し、喫水ゼロの仮定から浮体底面変位と等価となり、ある1パネルが仮想上下をする場合、ζ(x1 y1)=1と置く事が出来る。これを全ての要素について考えれば、|E|を単位マトリクスとして、
|G||p|=|G||G|-1=|E| (6)
となり、核関数の逆マトリクスから附加質量マトリクス|m|および減衰係数マトリクス|N|が求められる。
波強制力ベクトル{F}は、
ζ(x,y,)=eio(xcosx+ysinx) (7)
(但し、κoはκ=κotanhκoh力を満足する値)と置く事により求められる。
3.3構造の扱い
構造の剛性マトリクス|K|は、浮体の剛性が均一であると仮定して、等方性長方形平板要素の剛性マトリクス4)を用いた。|Ks|は1要素あたり、4隅の節点における上下1、回転2の計12の自由度を持つ。よって、(1)式の運動方程式も、各節点3自由度として扱う。また、曲げモーメントは、運動方程式を解いて求められた変位から、平板理論を用いて容易に求める事ができる。
3.4浮体同士の接合時の扱い
直接法では、要素浮体の接合に関する境界条件を容易に取り入れる事ができる本研究では洋上接合時の応答への適用を試みる。接合状態は、剛接合とピン接合に分けて考える。剛接合の場合には、接合治具に相当する箇所の剛性が無限大と考え、両要素浮体を一様連続な平板と仮定した。また、ピン接合の場合には接合点におけるモーメントが開放されるとし、曲げ剛性の寄与をゼロとして剛性マトリクスを再配置する。
4.水槽模型試験
4.1概要
数値計算の検証のために水槽模型試験を実施した。試験は、2に述べた全体浮体(300×60m)を想定した波浪中弾性応答試験と、2隻の要素浮体(100×20m)を接合した時の弾性応答試験の2種類である。Fig.3に全体模型および要素浮体模型および水槽試験の概要を示す。

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Fig3 scheme of test model and experimental setup.

4.2供試模型
(1)全体浮体模型
全体浮体模型は、長さ9.75m、幅1.95m、喫水1,67cmで、実機の1/30.77の縮尺を持つ。実機との曲げ剛性を相似にするため、構造部材にアルミハニカム板を用い、その下面に40mmの発泡ポリエチレン製浮力板が貼り付けられている。長手方向の曲げ剛性はEI=1,788×103?.?である。ハニカム板は接合による面内の剛性変化を防ぐため、継ぎ日の無い1枚板で製作している。
(2)接合試験用要素浮体模型
接合試験用の要素浮体模型は、1隻の長さ4m、幅0.8m、喫水2.0cm、縮尺1/25、長手方向の曲げ剛性はEI:2.0×103kg.?である、ポリカーボネート板を材料とし、縦横桁により補強された箱形構造として製作されている。
4.3実験方法
(1)試験水槽および水深
試験は、船舶技術研究所の海洋構造物試験水槽(長さ40m×幅27.5m)を用いて行った。実機の設置海域の水深8mに相当する相似水深は0.26〜0.32mとなり、浅すぎるために造波が著しく困難になる。よって、試験は1.8m〜1.9mの水深で行った。
(2)試験状態
主な試験は、規則波中および不規則波中における応答試験である。全体浮体の応答試験は、波との出会い角を0°、30°、60°、90°に変化させ、波周期0.8〜2.5秒、

 

 

 

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